プロトコルとは何ですか?
こんにちは。Aggre です。
Dev Protocol は Ethereum に構築された “プロトコル” で、OSS や Open Access などのオープンな資産の収入機会を作るための “寄付に代わる仕組み” そのものです。プラットフォームやウェブサービスではなく “プロトコル” です。名前にも “Protocol” って書いてあるんですが、名前にちゃんとした意味があるなんて誰も考えていませんよね。さらにややこしいことに、プロトコルが何なのかも分かりづらいので、名前に意味があると分かった皆さんもまだ混乱していることを私は知っています。でも安心してください。プロトコルという言葉の定義は重要ではありません。大事なのはそれがウェブサービスとどう違うのかであって、それを理解できるようになると、Dev Protocol で何ができるのかも理解できるはずです。
すでにあるウェブサービスの場合 permalink
Dev Protocol を理解するために馴染み深いものから考えてみるのはいいアイデアです。
現代のインターネットはデジタルペイメントで溢れかえっていて、ウェブサービスも収益化のためにデジタルペイメントを活用しています。それらのデジタルペイメントの多くはクレジットカード決済によるもので、例えば Alice が Bob に X ドルを支払うといったものでしょう。
クレジットカード決済には ISO8583 という “プロトコル” が使われています。さらに、インターネットを介しているので TCP や IP、SSL や TSL といったプロトコルも使われています。Alice から Bob へのお金の移転も一種のプロトコルと呼べるはずです。なんだかプロトコルだらけですが、それぞれのプロトコルやプロトコルという言葉の意味はそんなに重要ではありません! ウェブサービスが多くのプロトコルの集まりであるというのが重要なポイントです。
私が今から既存のプロトコルを使わずに e コマースを立ち上げるとします。それは ”e” でさえないはずなので… “遠隔地から何かを貰うための新しい活動” くらいの説明が精一杯のとにかく面倒くさい何かです。インターネットも使わず、手紙やのろしも使わず、郵便も使わず、お金も使わず、物々交換も使わずに何かを取り交わすのですから。もはや一周回って革命的? ちょっとその話は夜更かししている友だちと話せる日までとっておきましょう。
ここまで読まれた方はもう “ウェブサービス” と “プロトコル” の違いが分かったのではないでしょうか。
ウェブサービスはプロトコルの組み合わせによって成立しています。あるウェブサービスが独自に自分だけのプロトコルを使うこともできますが、ほとんど利点がありません。プロトコルには必ず汎用的な目的があって、その目的を共有している人々のあいだで利用されています。
何のためのプロトコルですか permalink
Dev Protocol は OSS や Open Access などのオープン資産が収入機会を得るためのプロトコルです。前の章でいうところの “Alice が Bob に X ドルを支払う” という取り決めを置き換えるようなものです。
オープン資産とオンラインショップに並ぶマグカップの違いは、オープン資産が提供の対価として支払を受け入れることができないという点です。オープン資産の作者は皆さんのために善意でそれを公開し、生活費は別の収入源から獲得します。もしもオープン資産がその利用者に対価を請求するなら、オープンではなくなってしまって存在価値が失われてしまうからです。まるでパラドックスです!
従来、オープン資産が頼ることのできる最大の収入機会は寄付でした。寄付はすばらしいプロトコルです。ただ、オープン資産が単一のプロトコルに依存しているのは正しくないと考えたので、Dev Protocol を作りました。
何ができるのですか permalink
一言でいうと “Alice と Bob が送金することなく 2 人とも収入を得る” ことができます。待って! 宇宙の外側のような得体の知れないものになってしまったと思わないでください。
まず、収入というのは現金ではなく DEV という暗号資産です。DEV はゆっくりとインフレーションしていて、つまりゆっくりと総供給量を増やしていて、その新しい供給分が DEV をデポジットしている人と OSS 作者に割り当てられます。デポジットすることを ”ステーキング” と呼びます。
ステーキングした人は、ステーキングした DEV に加えて新しい供給分を受け取ります。ステーキングした DEV を 100% とするなら、新しい供給分を足して 120% にできるという具合です。OSS 作者は自身が獲得したステーキング数に比例して新しい供給分を受け取ります。
ちょっと登場人物を整理します。
どのような人が利用しますか permalink
登場人物は主に 3 つのカテゴリに分かれます。
- オーサー
- パトロン
- メンテナー
それぞれを簡単に説明します。
オーサー
パトロンの支援対象になる活動を行っている人々です。オープンソース開発者や、研究者、創作者などが当てはまります。オーサーはステーキングの獲得数に比例して所有者報酬を得ます。
パトロン
オーサーの活動を支援するために、ステーキングを行う人々です。パトロンはオーサーを支援する見返りとしてステーキング報酬を得ます。
メンテナー
オーサーが活動を認証するスキームである Market を開発したり、Dev Protocol のコアの改善を行う人々です。
私たちが Dev Protocol なのですか permalink
私は前の章でプロトコルについて書いたので、それらが特定の会社によって作られるものではないことを皆さんは分かっていると思います。インターネットが 1 つの会社によって作られている訳ではありませんよね。
Dev Protocol は今、日本の会社 FRAME00 によってメンテナンスされていますが、そのメンテナンス権限はこれから半年~ 1 年半程度の ”分散化” プロセスの中で徐々に失われていきます。
プロトコルである以上、それはインターネット(TCP/IP)や SSL/TSL のような存在であって、ひとつの営利企業のもとで売上のために開発されるものではありません。
なぜ会社が管理しないのですか permalink
法律的な主体に依存したメンテナンス体制よりもインセンティブに基づいて離合集散する人々によってメンテナンスされる体制のほうが中立性と永続性につながると考えているからです。
同じ理由から、Dev Protocol が Ethereum をその基盤に採用していることにもつながります。Ethereum は分散型コンピューティングのひとつですので、管理者不在のまま稼働します。
つまり私たちが全員バスにひかれても Dev Protocol は正常に機能しつづけます。プロトコルとして考えるとそれは当然求められる要件です。
開発者には何ができますか permalink
ここまで長く書きすぎましたが、つまり、Dev Protocol はウェブサービスではなくプロトコルです。
あなたがインターネットで何かを成し遂げようとしているように、Dev Protocol をツールとして使うことができます。
オーサーやパトロンといったユーザーのためにウェブ上の収益化サービスを作ることもできます。プロトコルは手数料などを取りませんし、API リミットのような制限もありません。メンテナとしてプロトコル自体を開発することもできます。コードはそう多くありません。
Dev Protocol のドキュメントがあなたの参考になると嬉しいです。
この記事で物足りないと思われた皆さん、次回は分散型プロトコルとは何かについてエントリを用意しようと思います。
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